1. 当帰飲子とは?
当帰飲子は、血虚(血の不足)と血行不良によって起こる皮膚のかゆみや乾燥を改善する漢方薬です。
特に、冷えや疲れで血の巡りが悪くなり、皮膚がカサつき・かゆみが出やすい人に向いています。
日本の夏は湿度が高い一方で、冷房による乾燥や冷えも多く、実はこの処方が役立つシーズンです。
2. こんな症状におすすめ
乾燥肌や慢性的なかゆみ
アトピー性皮膚炎や湿疹のかゆみ
冷え性、手足の冷え
疲れやすく、顔色が悪い
生理不順や生理痛
冬だけでなく夏でも肌がかさつく
3. 主な構成生薬と作用
生薬名 | 主な作用 |
---|---|
当帰(とうき) | 血を補い、巡りを良くして冷えを改善 |
川芎(せんきゅう) | 血行促進、頭痛改善 |
芍薬(しゃくやく) | 血を養い、筋肉のこわばりを和らげる |
地黄(じおう) | 血液を補い、皮膚や髪に潤いを与える |
黄耆(おうぎ) | 体表の防衛力を高め、肌のバリア機能を強化 |
甘草(かんぞう) | 炎症を和らげ、全体を調和 |
防風(ぼうふう) | 皮膚のかゆみを鎮める |
荊芥(けいがい) | 炎症や発疹を軽減 |
生姜(しょうきょう) | 体を温め、消化吸収を助ける |
4. 夏に当帰飲子が向いている理由
夏は意外にも「冷え」と「乾燥」が隠れています。
冷房冷え:長時間の冷房で末端血流が悪化し、肌の代謝が低下
発汗後の乾燥:汗とともに皮膚の水分・油分が失われ、かゆみや赤みが出やすい
紫外線ダメージ:肌バリアの低下により敏感肌化
当帰飲子は「血を補い巡らせて肌に潤いを与える」作用と、「かゆみを鎮める」作用を併せ持つため、夏でも乾燥やかゆみがある人にピッタリです。
5. 飲み方と注意点
1日2〜3回、食前または食間に服用
ぬるま湯での服用が吸収を高める
即効性よりも、数週間〜数か月の継続で効果が出やすい
妊娠中、出血傾向のある方は医師に相談
強い炎症や化膿を伴う皮膚症状の場合は他の処方と組み合わせることも
6. 体質別のポイント
血虚タイプ(顔色が悪く、髪や爪が弱い) → 最も効果が出やすい
冷え+乾燥肌 → 夏でも冷えを感じる人は特におすすめ
ストレスによるかゆみ → 気血の巡り改善で落ち着くことも
7. 夏の養生と合わせ技
冷房対策
足首・お腹を冷やさない服装にする水分補給の工夫
常温の麦茶やルイボスティーで体を冷やしすぎず潤す抗酸化食材の摂取
トマト、ブルーベリー、ビタミンC豊富な果物で紫外線ダメージ対策軽い運動で血流促進
ヨガやストレッチで巡りを改善し、肌の代謝をアップ
まとめ
当帰飲子は、血虚による乾燥やかゆみ、冷えを改善する漢方薬です。
夏は汗や紫外線で肌が弱りやすく、冷房で巡りも悪化しがち。
そんな時期にこそ、内側から潤いと血行をサポートする当帰飲子が頼りになります。
日常の養生と組み合わせて、肌も体も心地よい夏を過ごしましょう。