1. 補中益気湯とは?
補中益気湯は、元気(気)が不足している状態を立て直し、胃腸の働きを助けながら体力を回復させる漢方薬です。
「補中(ほちゅう)」は胃腸(中焦)を補う、「益気(えっき)」は気力を増すという意味があります。
疲労感、食欲不振、倦怠感、だるさなどの改善に用いられ、特に夏バテ対策にもおすすめです。
2. こんな症状におすすめ
ちょっと動くだけで疲れる
夏になると食欲が落ちる
冷房で体が冷えやすい
立ちくらみやめまいを起こしやすい
顔色が悪く、肌にハリがない
※漢方では、これらを「気虚(ききょ)」の症状と捉えます。
3. 主な構成生薬と作用
生薬名 | 主な作用 |
---|---|
人参 | 気力を補い、体力をつける |
黄耆(おうぎ) | 免疫力アップ、発汗の調整 |
白朮(びゃくじゅつ) | 胃腸機能を整え、余分な水分を除く |
当帰(とうき) | 血を補い、冷えを改善 |
陳皮(ちんぴ) | 消化を助け、胃もたれを防ぐ |
柴胡(さいこ) | 自律神経のバランスを整える |
大棗(たいそう) | 栄養補給、疲労回復 |
甘草(かんぞう) | 薬効を調和し、胃腸を守る |
4. 夏に補中益気湯が向いている理由
夏は暑さと湿気によって胃腸が弱まり、気(エネルギー)が消耗しやすい季節。
冷たい飲み物や冷房も胃腸を冷やし、消化機能をさらに落とします。
補中益気湯はこの「夏の気虚」状態を改善し、胃腸から元気を取り戻すサポートをしてくれます。
5. 飲み方のポイント
通常は朝と夕方、食前または食間に服用
ぬるま湯で飲むと吸収が良くなる
夏場でも冷たい水は避ける
服用期間は2週間~1か月を目安に体調をみながら
6. 体質別の注意点
胃腸が弱く冷えやすい人 → 相性良好
体がほてりやすく熱っぽい人 → 医師や薬剤師に相談
妊娠中 → 必ず主治医に確認
7. 補中益気湯+生活養生
朝日を浴びて体内時計を整える
朝の光は自律神経をリセットし、気力の回復を助けます。冷たい飲食を控え、温かい汁物を取り入れる
夏でも常温~温かい飲み物を意識。こまめな休息
気虚体質はオーバーワークで悪化するため、短時間の休憩を。
まとめ
補中益気湯は、夏のだるさや食欲不振、冷房による体調不良など、「夏の気虚」対策にぴったりの漢方薬です。
体の中からエネルギーをチャージし、夏を元気に乗り切るためのサポートになります。
ただし、体質によっては合わないこともあるため、服用前には漢方に詳しい薬剤師や医師に相談しましょう。