1. はじめに──産後の不調は「自然なこと」
出産は「命を生み出す大仕事」。
30代後半での出産は、若い頃よりも体力回復に時間がかかりやすく、加えて授乳・夜泣き・家事・育児と休む暇がない日々。
「疲れが抜けない」「肌がカサカサ」「髪が抜けやすい」「冷えがつらい」などの悩みは、実は漢方が得意とする分野です。
2. 産後ママに多い不調と中医学的な原因
主な不調 | 中医学での原因 | 具体的な症状 |
---|---|---|
体力低下・疲労感 | 気虚(ききょ) | 倦怠感、息切れ、風邪をひきやすい |
冷え・むくみ | 血虚+瘀血(けっきょ+おけつ) | 手足の冷え、顔色が悪い、むくみ |
抜け毛・肌の乾燥 | 血虚(けっきょ) | 髪のパサつき、爪が割れやすい |
気分の落ち込み | 気虚+気滞(ききょ+きたい) | イライラ、不安感、動悸 |
生理不順・経血量の減少 | 血虚+瘀血 | 生理周期の乱れ、生理痛 |
3. 30代後半・産後ママにおすすめの漢方薬
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)

効能:産後の体力・免疫力回復、疲労改善
ポイント:気と血を同時に補う“総合栄養ドリンク”のような存在
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
効能:むくみ・冷え・貧血予防
ポイント:産後の水分代謝を整え、巡りを良くする
当帰飲子(とうきいんし)
効能:乾燥肌・かゆみ・髪のパサつき改善
ポイント:血を補って潤いを与え、冷えも改善
加味逍遙散(かみしょうようさん)

効能:気分の落ち込み、イライラ、不安感
ポイント:ホルモンバランスを整え、ストレス性の不調に
4. 生活養生で漢方効果を高める方法
食事
鉄・たんぱく質を意識(赤身肉、レバー、豆類)
血を補う黒い食材(黒ごま、黒豆、ひじき)
冷たい飲み物は控え、常温か温かいお茶を
睡眠
昼間に15分でも横になる「プチ昼寝」
夜泣きで分断される睡眠は、パートナーや家族と交代制に
運動
無理な運動より、ストレッチや骨盤ケア
足首回し・軽いヨガで血流促進
心のケア
家事は“完璧にやらない”
SNSよりもリアルな会話を優先し、孤独感を減らす
5. 漢方を始めるときの注意点
授乳中でも使える漢方は多いが、必ず医師・薬剤師に確認
効果は数週間〜数ヶ月でじわじわ出る
漢方は症状だけでなく体質に合わせて選ぶことが大事
まとめ
30代後半の産後ママは、体も心もフル稼働。
漢方は、忙しい日々の中でも体力を取り戻し、肌や髪を整え、心を落ち着けるサポートをしてくれます。
「自分の体は後回し」になりがちな時期だからこそ、内側からのケアを始めましょう。