1. 四物血行散とは?
四物血行散は、血の不足(血虚)と血の滞り(瘀血)を同時に改善し、全身の血行を促す漢方薬です。
元になる処方は「四物湯(しもつとう)」で、これに血行促進・気の巡りを整える生薬が加わったものです。
生理不順や冷え性、肌荒れ、肩こり、精神的な不調など、女性の「血の悩み」全般に広く使われます。
2. こんな症状におすすめ
生理痛、生理周期の乱れ
冷え性、手足の冷え
顔色が悪い、肌のくすみ
肩こり、腰痛
気分の落ち込み、イライラ
更年期のほてり・のぼせ
3. 主な構成生薬と作用
生薬名 | 主な作用 |
---|---|
当帰(とうき) | 血を補い、血行を促す |
川芎(せんきゅう) | 血行促進、頭痛改善 |
芍薬(しゃくやく) | 血を養い、筋肉のこわばりを緩める |
地黄(じおう) | 血液を補い、潤いを与える |
桃仁(とうにん) | 瘀血を取り除き、血流を改善 |
紅花(こうか) | 血の巡りを促し、痛みを緩和 |
香附子(こうぶし) | 気の巡りを整え、ストレスによる不調を改善 |
陳皮(ちんぴ) | 消化吸収を助け、気の滞りを解消 |
4. 夏に四物血行散が向いている理由
夏は一見、血行が良さそうに感じますが、実は冷房や冷たい飲食による下半身の冷えが多発します。
また、発汗によるミネラル・血液量の変化で、巡りが滞りやすく、頭痛や倦怠感を招きやすい季節でもあります。
四物血行散は「血を補いながら巡らせる」処方なので、夏バテによる貧血気味の症状や、生理時の冷え・だるさにも適しています。
5. 飲み方と注意点
1日2〜3回、食前または食間に服用
ぬるま湯で服用すると吸収が良い
即効性よりも、2〜3か月継続で体質改善を期待
妊娠中や出血傾向のある人は医師に相談
血流促進作用があるため、抗凝固薬との併用は注意
6. 体質別のポイント
冷え+血虚(顔色が悪く、爪や髪が弱い) → 特に効果が出やすい
ストレスや緊張で肩こり・頭痛が出る人 → 気血の巡り改善で緩和
ほてりやすい人 → 清熱作用のある食材と合わせるとバランスが良い(例:きゅうり、冬瓜)
7. 夏の養生と合わせ技
常温水をこまめに飲む
血液の流れをスムーズに保ちます。軽い有酸素運動
ウォーキングやヨガで血流促進。鉄分とビタミンCを意識
赤身肉、ひじき、柑橘類で造血をサポート。冷房の風が直接当たらない工夫
ストールやカーディガンで首元・お腹を保温。
まとめ
四物血行散は、「血を補い、巡らせる」力で女性特有の不調を整える漢方薬です。
特に夏は冷房冷えや水分バランスの乱れで血行が滞りやすく、慢性的な疲れや肌トラブルを招きます。
食生活や生活習慣の見直しと合わせて取り入れることで、体の内側から血色と活力を取り戻せます。